• よくガイドブックだったり何やらに、そんな風に書いてあるけど、いや、全然似てない。と、私は思う。                             〇〇人という括りが大きすぎてあまり好きではないけれど、やっぱり似てないと思う。

    「労働に」関する文化というか、考え方というか、価値観で一つ例を挙げようと思う。       日本では憲法にあるように、労働(勤労)は国民の義務である。                 日本でも「働かざる者食うべからず」という言葉は定着し、一度は耳にしたことがあると思う。

    ミャンマーで最初に勤めた会社は、日本の家電ブランドの正規代理店だった。(A社とする)             社長は日本人だがミャンマーに常駐しておらず、他スタッフは全員ミャンマー人で社内もミャンマー語で過ごしていた。(社長がミャンマー語を話せた)                        その会社に勤めていたある時、仕事のキリが悪くてお昼休みになってもそのまま仕事をしていた。すると、同僚みんなから「お昼食べないの?」「大丈夫?」と聞かれた。そして上司からはこう言われた。

    「ミャンマーにはこんな言葉がある『ごはんを食べずに働いてはいけない』」と。

    上記は直訳だが、2つの解釈ができる。                             ①文字通りの意味で、意訳すると「食わざる者働くべからず」                  ②意訳して、「腹が減っては戦ができぬ」という方の意味、しっかり食べてから働こう

    正解はわからないけれど、私は①だと感じている。 そしてこの言葉が好きになってきた。                      「食わざる者働くべからず」、ごはん食べていくために働いてるのに、ごはん抜きで働くなんて本末転倒だよなぁと妙に説得力を感じてしまう。                           日本だと「働くために働く」ような職場、場面もあるし、仕事が好きな人はそれだと思う。

    A社で働いていて、日本や他の国から出張者が来ると、お昼も食べずにミーティングをし、現場視察へ行くことが多かった。                                    そうすると同僚たちは口々に言うのだ、「お客さんまだごはん食べてないよね」。             ミャンマーのおもてなし精神と、食わざる者働くべかざるから来ていると思う。

    もしミャンマー駐在したことがある人なら、思い当たる節があると思う。ミャンマーの人たち、食事の優先度が高く、人の好き嫌いもとてもよく把握している。                      食わざる者働くべからずなのです。

    昨今は長時間労働はよろしくないという考え方も定着しつつあるけれど、会社によっては、今でも長時間労働=がんばってる、という価値観の人はまだまだ多くいると思う。(私はたくさん見た)

    日本で働くことに疲れた人は、ミャンマーへ行くといいと思う。(今はおすすめしないけど)       食わざる者働くべからずの精神は、そりゃそうだよな~と、居心地がいいと思う。

    チーム「食わざる者働くべからず」

  • こわします。                                        インドでお腹平気だった人もお腹を壊すのがミャンマーです。                  実はミャンマー人もお腹壊してます。

    暑さもダメ、辛いのもダメ、それでよくミャンマー来たねと言われる中、お腹だけは強かった。      ストマックギフテッド。

    お腹が弱い人は、缶に付いた水滴でもお腹を壊してしまうそうだ。                家の食器は水道水で洗っていた。                               屋台のご飯を食べていた。                                   生野菜も食べていた。                                    日本人の友人たちと同じものを注文して、他の人がお腹が痛くなる中、一人だけケロっとしていた。 ストマックギフテッド。

    そんな私でも、お腹を壊すことはあった。                           そういう時はだいたい心当たりがあり、暑季に煮込まれ続けた麺を食べたりだとか、今日食べたやつちょっと変な匂いしたなとか。ただ、お腹を壊しても一日で治った。                  そうこう暮らしているうちにお腹はさらに強度を増し、それと「あ、これはやめた方がいい」と、文字通り鼻が効くようになり、お腹を壊すことはほとんどなかった。

    そんなストマックギフテッドにも落とし穴があった。                      日本に一時帰国すると、お腹を壊すようになっていまった。なんかお腹が、「清潔過ぎて戦う相手がいない、力有り余ってるんですけどー!!」と暴れているようだった。               コロナで日本に完全帰国したけど、日本仕様になるのに半年くらいかかったと思う。

    日本で働き始め、健康診断でバリウムを飲んだ時には、お腹にいる歴戦の猛者たちとのお別れがとても悲しかった。バリウム後は新米戦士たちの育成に励んでいる。

    せっかくのストマックギフテッドも、履歴書には書けないし、日本ではあまり活かすことができないでいる。

    市場の魚売り場。暑いと傷むから朝が多い。

  • ミャンマーではご飯を炊く以外はほとんどおかずを買うか、外食をしていた。

    ミャンマー料理がどんなものかは説明しにくい。                        中国、タイ、インドと接していながら、それらの国の「おいしい」の影響はあまり感じられない。あってもミャンマー流にアレンジされている。

    ミャンマー料理、ミャンマー流とは、とにかく油が多い。玉ねぎや香辛料をよく炒めて、大量の油で豚肉を煮込む。あるいは鶏肉を煮込む。ヤギ肉も煮込む。出来上がりは油の中にお肉が浮いている。                     ガイドブックなどではこの油煮込みは「カレー」と書かれている。カレーと聞いて想像するどの「カレー」とも全く異なるが、油煮込みなんて調理方法もふだんすることがないから、訳した人の苦労が感じられる。

    街のおかず屋さん。左下の茶色いのが「カレー」かな。

    油煮込み、炒め物(油多い)、和え物(油多い)が主流だが、日本人の口にはけっこう合うと思う。油煮込みは玉ねぎを炒めた甘みと旨味があるし、和え物は赤玉ねぎとパクチー、ピーナッツ油にライムを絞って(比較的)さっぱり食べる。                                          私は和え物が好きだった。中でもおすすめしたいのは、焼きナスの和え物。            焼きナスの香ばしさにピーナッツ油がしみて、「うまっ!」となる。しかし脇役過ぎるのか、残念ながら日本にあるミャンマー料理店ではなかなか扱ってない。なんならミャンマー国内の外国人が訪れるようなミャンマー料理屋にもない。

    ミャンマーを旅行しておいしいミャンマー料理を食べるのは難しいと思う。            ミャンマー料理は家庭料理がうまい。人んちのご飯は最高。                           街角の店では劣化した油や食材を使っているけど、家庭ではちゃんとした物を使っている。ミャンマーの人のお弁当をちょっともらったり、家庭料理をふるまってもらったときは、「今までミャンマー料理そんなうまくない(あ、言っちゃった)と思ってごめんなさい」と思うくらい別格。

    旅行でそのおいしいミャンマー料理を食べるなら、仏教行事に出くわすしかない。         各家庭がお坊さんにはとっておきのおいしい料理を寄進する。「何してるの?」と聞けば、ミャンマー人優しいから仲間に入れてくれる。お坊さんへの敬意を忘れず、お金の寄進もできればして、ありがたくいただきたいところ。

    とは言え仏教行事に出くわすかは運、おいしいミャンマー料理は、かくもレアものである。

  • ミャンマーでは、ふだんは洋服を着ていたが、伝統服のロンジーもけっこう着ていた。

    市場の様子。腰巻きスカートがロンジー。男性物はパソー、女性物はタメインと呼ぶ。

    ロンジーは腰の余った部分の布を巻いて、落ちないよう着ている。私はそれができず、すぐズリ落ちてしまうので、仕立て屋さんでファスナーやボタン式にしてもらっていた。                        ロンジーは既製品もたくさんあるが、仕立ててもらうのが一番楽しい。              市場で生地を選び、仕立て屋さんでデザインを注文する。刺繍を付けてもらったり、ボタンを選んだり、首元や袖の形も注文できる。仕立て屋さんにはデザイン集の本や雑誌が置いてあり、そこから選んだり、自分で絵を描いてイメージを伝えることも多かった。

    プレゼントでもらった生地セット。上下で色を合わせる。

    一目ぼれした馬柄の生地。

    ロンジーを着ていると、ミャンマーの人たちが褒めてくれる。似合ってるね、きれいだねと言ってくれる。異国情緒ある服を着てウキウキになる上、ウケがいい。洗濯してもすぐに乾く。

    良いことづくめのロンジーにも、困る点もあった。                       さて、ここでクエスチョンです。その困ったこととは何でしょうか。                 正解は、伸縮性がない。                                   ロンジーはご飯食べた後だとウエストが苦しく、エインジー(セットの上の服)は肩が凝る。    ロンジーは体の線を美しく見せるものなので、サイズはぴったりに作る。             サイズが合わなくなったらまた仕立て直せばいいのだが、ちょっと面倒。             面倒になるくらい、サイズが変わった。                            ミャンマーにいた7年間で10㎏太った。

  • 東南アジアの雨季というと、夕方くらいにザーーーッと大雨が降り、その後はカラッと雨が上がる、ゲリラ豪雨のようなイメージを持つ人もいるかもしれない。

    ミャンマーの雨季はそのイメージとは異なる。                       一言でいうと、「ひどい梅雨」。一日中じとじと雨が降り続き、雨足が強くなったり弱くなったり、上がったと思ったらまたじとじと。

    外国人が雨季に用意しておきたいものは何か。                         それは傘でもレインコートでもない。                              何も想像しない、無の境地だ。                                  路上には吐き捨てられた噛みたばこの赤い汁や、痰、犬のしっこやうんち、ゴミ、ネズミの死骸、いろいろな物がある。それらが溶け込んだ水が足に付くのだ。                     嫌である。                                         しかし嫌がっていたら何もできない。だから、何も考えてはいけない。                    解決策にはなっていないが、これで外に出ることができる。                  無。無。無。目も半開きにしたいが、側溝にはまる恐れがある。                                        そして帰宅したら一番に足を洗う。                              ちなみに雨季でもビーサンタイプのサンダルを履いていた。長靴を履くという発想はなかった。

    こう書くと雨季はサイアクなのだけれど、私はけっこう雨季が好きだった。             まず、暑くない。夜なんて肌寒いくらいだ。                          それから、果物の季節だ。日本にはない熱帯の果物が食べられる。                一番好きだったのは空気。乾季も暑季も砂埃が舞ってぼやぼやしているが、雨が押し流し、空気も景色も鮮明になる。

    その砂埃も足元の水に溶け込んでるんだけど、そんな想像をしてはいけないのだ。

    雨で落ちた花を拾う少女。

    見てたらくれた。

    ヤンゴン川のあっち側は豪雨。

  • 2013年5月、暑季まっさかり。                                 勉強は思うようにはかどらないし、暑いし、ネットないし、暑いし、友達ぜんぜんいないし、暑いし…                                 暑さでホームシックに拍車かかっていた。

    しかし自分ではホームシックを認めるわかにはいかなかった。                  仕事でミャンマーに来たわけではなく、日本で仕事を辞めて、日本で部屋を引き払い、退路も後ろ盾もなく来た。ホームシックなんて弱音を吐いている時間があるなら勉強しろ、単語一つでも多く覚えろ、後はないんだ。                                        責めて、責めて、追い込んだやり方をしていたので、とにかく、ホームシックにかかっていると認めることは「負け」を意味していた。   

    しかしどんなに自らを責めて鼓舞しようと、暑さには勝てなかった。                部屋にエアコンはなく、熱帯夜が続き、寝不足だった。

    そんなある日、薄っぺらい布団に横になり、汗がだらだらと流れる夜、糸が切れた。                                「あついよ〜あついよ〜」と、泣いた。                            ホームシックでも泣かなかったのに、暑さには負けた。                     「あついよ〜あついよ〜」                                  するとどうだろう、頬を伝う涙まで熱いのだ。                         泣けば泣くほど、涙のせいでより暑くなる。

    何やってんだろ。                                      おそらく泣いてすっきりした効果もあったのだろう、冷静になってきて、なんだかとてもばかばかしいことに気付き始めた。                                     泣いても暑いだけだからさっさと寝よと、それ以来泣くのをやめた。

    後に買ったウォータークーラー。ブランドはSAMSONIC、いろんなメーカーにあやかっている某国製品。SAMSONICは涼しい風を出してくれるが、部屋を冷やしてはくれなかった。常に真ん前にいれば少しだけ涼しくなった。                                    この日は夜で室内温度が27℃だったらしいが、SAMSONICが正確な室温を測ってくれていたかは怪しい。というか、扇風機きったな。

  • ミャンマーでは蛇口から出てくる水は飲めない。                         飲料水は買って飲むものだ。外出時にはペットボトルを買えばいいが、家ではどうするか。 

    ミャンマー初年度はミャンマー語が話せなかったから、一番大きなペットボトルを数本買って、7階まで持って帰っていた。                               ミャンマー語が話せるようになってからは、お水を注文してタンクで買った。                                    給水機に入れる大きなタンクの先に、バルブが付いてるのを想像してもらうと近いと思う。

    お水はお水屋さんで買う。住所を言って、配達してもらう。                    ヤンゴンに住んでて4回くらい引越しをしたが、一度、引越した時にお水屋さんに部屋の階数も言わずに注文してしまったことがある。ちゃんと届いた。近所の人が「あの日本人ならあの部屋に住んでるよ」と教えてくれたのだろう。外国人は目立つから噂になりやすい。外国人めっちゃ便利ーと思ったものだ。

    空になったお水のタンクは、新しいお水タンクを配達してもらうときに回収してもらう。定期配達なんてものはないから、お水がなくなりそうになったら「もしもし〇〇通りの外国人だけど明日お水2本持ってきてください」と電話する。                                 クレジットカードも口座引き落としもないから、支払いは現金だ。                 しかし、支払いたくてもいつ届くかわからない。お水が来るまで待つのもやだし、待ったところで本当にその日に持ってきてくれるかさえわからないのだ。

    配達依頼の電話をし、翌日仕事から帰ると、家の前にお水のタンクが届いていた。           お金払ってないのにツケてくれたらしい。お水屋さんには「次の配達の時に支払います」と電話をした。                                             しかしその次回の配達時にも支払いができなかった。お水屋さんは気にしていないようだったが、気が咎めてくる。そこで、「次の配達のとき、空きタンクの下にお金を置いておくから回収してもらえませんか」と聞いたところ、「いいよー」と返ってきた。                         いいんだ。すごい柔軟だな。                                 次の配達のとき、玄関前に空きタンクを置き、お金入り封筒を折って外からは見えないようタンクの下に置いた。                                         この時はそこそこミャンマー暮らしにも慣れていたので、配達員がちょろまかす可能性もちゃんと考え、新しいお水が届いたときに、お水屋さんにお金回収できたかの連絡も入れた。           お水屋さんはちゃんとお金を受け取っており、それから支払いはこの方法が定着した。

    後になって思うのだが、私がお金置いとく方法をせずまた引越していたら、お水屋さんはお金を回収できなかっただろう。どんな風に帳簿を書いているのか、けっこう気になる。

    お水配達してもらってた時に住んでたアパートの階段。雨季になると犬が避難してて、ここでうんこしないでねと思いながら横を通っていた。

  • 生活用水は、日本とはまるで違った。蛇口をひねれば出るものではない。

    まず、アパートの地下に大きな貯水槽がある。それを電気ポンプで汲み上げ、部屋の水浴び場に置いてある貯水槽に溜める。溜まったことをお知らせするタイマーはない、溢れた音が聞こえたらポンプを止める。

    部屋の貯水槽から、屋内の各蛇口に水がいく。一日に何回か水を溜めるのだが、ここで困るのは停電だ。一度、水がなくなった時に停電が来て、水を汲み上げられず、水浴びしたくてもできないことがあった。電気はそのうち来るから、だいたいぼんやりして過ごす。

    そういえば、日本人の駐在員から「停電?!どうするの?!」と何度か言われたことがある。どうもこうもない、電気が来るのを待つか、寝るだけだ。                        日本で停電が起きたら焦るかもしれないが、停電が日常だと、「ああ停電か」と思い、そこかしこに置いてあるろうそくや懐中電灯を点ける。                            備えあれば憂いなしというより、憂いありきだから常備してある。

    話が停電に逸れたが、生活用水の話だった。停電の場合は待つだけだが、地下の貯水槽がカラになって汲み上げられないこともある。管理人だか誰だかが、水を溜め忘れるのだ。管理しないのが管理人だ。

    ここまで書いたところでクイズを出したい。                          あなたは水が汲み上げられなくなりました、どのような原因と対処法があるでしょうか。

    答え、最低3つの可能性がある。                                   ①停電してて汲み上げられない  →他の電気スイッチで確認する                  ②汲み上げモーターの故障  →修理の人に来てもらうため最低3日はかかる                                     ③地下書水槽がカラ  →管理人ぽい人に言う

    最低というからには、実はもう一つある。                            ④管理人が水を溜め忘れたけど体裁が悪いから誤魔化して「モーターが壊れてる」と言う        ④になると原因が特定できずあれやこれやするハメになる。                   こういう、人に振り回されるを何度かくらうと、対処法は「バンコク旅行で息抜き」、になる。

    ヤンゴンの街並み。この一部屋一部屋に貯水槽がある。

  • ミャンマーで初めて暮らした部屋は、ホールタイプという一般的なワンルームだった。            ちなみにこの写真は、急に大家さんが来て、急に部屋に壁を立てていった時のものだ。

    仕切りを取り付けられたが、部屋はワンルーム。30㎡はあったと思う。               7階で最上階、エレベーターはない。

    部屋を借りてからまず用意したのがシートだ。床はむき出しのコンクリートででこぼこしている。                            床のシート屋さんにはファンシーな柄から様々あったが、無難にフローリング柄にした。薄目で見ればそこそこフローリングに見える。ただのシートなので歩くとコンクリのでこぼこや小石が足裏に痛いのだが、床をどうこうするより足の裏の方が先に強くなったから、痛みも最初だけだ。        周りを変えようとするんじゃなく、自分を変える、というやつだ。たぶん。

    部屋の窓から見た景色。                                   眺めが美しいかは別として、開放感があって好きだった。                    写真、真ん中より少し上の三角屋根は僧院だ。ミャンマーでは満月の行事がたくさんあり、深夜までマイクの大音量読経が行われた。

    部屋には台所のシンク、トイレ、水浴び場が付いていた。                      台所、ガス台や電気コンロというものは付いてない。カセットコンロか電気の調理器具を別で買う。    トイレは和式。流すときは桶に水をためて手動で流す。数々のトイレを利用したが、詰まりやすいから洋式よりこの和式タイプが一番問題を起こさなかった。不便と見えて実は理にかなっていた。      水浴び場は、シャワールームと言いたいところだが、シャワーはない。大きなたらいに水を溜めて、小さな桶で体にかけて洗った。

    洗濯機は買わなかったから、手洗いしていた。                         手洗い自体はそんなに苦ではないのだが、脱水が大変だった。手で絞ったところでたかが知れており、干していると下が水でびちょびちょになる。雨季にはまるで乾かず、常に生乾き臭かった。     ただ、家に洗濯機があるミャンマーの家庭は多くはないから、みんなで生乾き臭ければそれが普通になる。 ミャンマーに俳句文化があったら雨季を表す季語になったかもしれない。 

  • 看板「犬」とミャンマーのものを扱うので、ミャンマーで犬に追いかけられた話を書こうと思う。

    ミャンマーにはそこら中に野良犬がいる。正確に言えば「地域犬」。誰かが、あるいは複数の人たちが犬にごはんをあげている。地域猫の犬版だ。              地域犬は日中は暑さで静かに寝ているが、夜になると群れをなして活動を始める。   ワンワン吠えて走り回ったり、吠えたてられた犬のキャインという声が響く。

    みな中型犬サイズで、外国人からするとけっこう恐い。               しかも犬は匂いで外国人ということがわかるので、付いて来たりうなったりする。    私は夜になると、そのへんを歩いてるおばちゃんに声をかけて「犬おっかないから一緒に歩いて」とお願いしていた。

    ミャンマー6年目だったろうか、当時はミャンマーの内資総合商社で、日系企業担当として働いていた。かなり大きな会社で、銀行も展開していた。               その大きな会社はグループ傘下にセメント会社を持っており、日本から来たセメント技術者のアテンド兼通訳をしたことがある。

    セメント工場はネピドーという首都にある。ヤンゴンから飛行機で1時間くらいの距離だ。                                    ネピドーでは、これまた同じグループ傘下のホテルに宿泊していた。ホテルからセメント工場までは車で1時間ほど。ネピドーは首都だが遠くてだだっ広い。

    私は気難しい性格のため、四六時中誰かと一緒にいるのが苦手だ。                アテンドだから、ヤンゴンからネピドー、ネピドーでも夕ご飯まで、ずっとお客さんと一緒で、それが数日間続く。                                        工場での通訳兼お手伝いみたいな仕事は好きだが、夜になるとそれとは違う疲労がどっと襲ってきた。

    ある時、ストレスを発散しようと、ホテルの敷地内をランニングした。              ホテルはヴィラ形式でバンガローが点在し、けっこう広い。走ると風が頬に当たり、周囲も暗いから、実際の10倍くらい早く走っているような気がしてくる。

    そう、私は調子に乗った。風になってる!くらいの気分だった。                                  どこまでも走っていける気がして、ホテルの外周を走ってみることにした。               スーハ―スーハ―                                      自分の呼吸までかっこよく感じられて来たころ、道路の反対側、前方の茂みが動いた。        犬が2頭出てきた。ワンワン吠え立てている。                          道を引き返すこともできず、無視を決め込んで走り抜けると、ワンワン吠えながら追いかけてきた。                                 私は考えた。犬は動くものを追いかける習性がある。止まった方がいいのか?いや止まっても囲まれたら終わりだ。狂犬病の注射してないから噛まれたら病院へ直行。あれ何回も打つんだよな。めんどくさ。痛いのやだな。どうする、どうする…?!?!

    たぶん考えていた時間は1秒くらいだったと思う。                        すさまじい速さで自分内会議を行い、「首を噛まれなければOKとし、走り抜けてホテルの敷地に逃げ込む」という決議が出た。  

    ぬおおおおおおおおおおおおお

    振り返って犬の様子を見る動きさえロスにつながる、ワンワンと爪の音を背中で聞きながら、とにかく走った。                                          前方にホテルの入り口が見えてきて、ラストスパートをした。                  ホテルの敷地に入って初めて後ろを向くと、犬の姿はなかった。助かった。

    このことを当時Facebookに書いたら、ヤンゴンにいた上司から「お前ホテルでおとなしくしてろ!」とコメントが来た。30過ぎになって犬に追いかけられて上司に叱られる。しょうもない選手権で入賞できると思う。

    セメント工場。だだっ広くて気持ちがいい。

    サボっているスタッフ。

    真剣にサボっている。